16.MY FOOLISH HEART
二つに分かれてみたい衝動に駆られ、二つに分かれてみたものの一つになりたいと願いて繰り返し、繰り返して生産し世界を成す。分かちは一つから二つまでを華やぎと肯定し、分かつ二つは一つまでを否定して華やぎと肯定した。
「私たちが創った世界が肯定されて色を成したよ」
「冒険だね」
「冒険だよ」
「私たちが作ったあの星は美しいね」
「美しいね」
「私たちも降りてみよう」
「どうやって?」
「減速して、ただ降りればいい」
「ふふ」
「青い星」
「うふふ」
「青い星」
「戻れる?」
「戻れるよ」
「加速するの?」
私たちは違うと首を振る。
「ただ、目を覚ませばいい」
それが分かって私たちは夢を見る。分かち、分かち合う、個々が持つ、瞬く時間の接点。そんなして互いが互いの時間に干渉する、甘いような、いいも悪いも包含する、ありがたいような幸福な夢。
了
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