2020.05.06 21:0016.MY FOOLISH HEART 二つに分かれてみたい衝動に駆られ、二つに分かれてみたものの一つになりたいと願いて繰り返し、繰り返して生産し世界を成す。分かちは一つから二つまでを華やぎと肯定し、分かつ二つは一つまでを否定して華やぎと肯定した。「私たちが創った世界が肯定されて色を成したよ」「冒険だね」「...
2020.05.06 15:0015.Between Today and Tomorrow 「ワタシハ叡智。内包カラ懐古ヘ緩衝ヲ必要トセズ、潜伏シ浮上スル者ナリ」次回 16.MY FOOLISH HEART 本日 6時
2020.05.06 09:0014.APPLE 久しく足を運んでいなかったが、石原が草原に変わるなどと言われれば気にもなる。加えて植物を見たなどと言う。私には家しか見えない。そして美しい人と会うための手段でしかないこの惑星で、そのように聞けば、ひょっとしたら見たいものを見せるというヴェールが破られ、あの人と対面する...
2020.05.06 03:0013.殺し屋危機一髪 大したものは作らないけれど、料理が嫌いなわけではない。酒が好きなわけではないけれど、嫌いなわけでもない。選択のどちらともない日常を幸福と呼ぶのかもしれない。そのように生きて、そのように終わることを。紡がれた歴史に倣えば、善を勧め悪を懲らしめるという二分した発想のままな...
2020.05.05 15:0012.きらきら武士「この穴は?」「うさぎ穴です」「蜂房に見えるが」「あたしが入ればうさぎ穴です。なんせあたしはうさぎなもんでして」「私が入れば・・・・・・」「武士が入れば、この穴の全ては武士のものであります」 その狭い穴に入ろうと手を掛けて、ふいに右を見ると、多くの私がやはり穴に入ろうと...
2020.05.05 09:0011.be coming ここに来るのは久しぶりとなった。自分でも意外なほど足が向かず、今日もコンテンツには行かずに、だから二次会を飛び越えて、懇談会にやって来た。少人数の懇談会でも顔ぶれがだいぶ変わっていて、どれだけ空いたことかと、挨拶を交わした。挨拶を交わしたのは、惑星について教えてくれた...
2020.05.05 03:0010.危険すぎる 2 / 2「コンビニか?」 女はにこりとして、買ってきたものをテーブルに並べた。スケッチブックは売ってなかったからノート。と、そんなものを出したもんで、やっぱりクレイジーだぜとにわかに興奮した。しかし腰に手を回すかどうか迷う。女の様子をもう少し見よう。「カードゲームは好きか?」「...
2020.05.04 09:0010.危険すぎる 1 / 2夕闇せまる頃に着いた安モーテルで二人きりになった。クーラーがなくて、一つだけ付いた窓を開けると、見えない街の喧騒が届いた。無風。それでも、この暑さで締め切ったら命取り。汗を流せばましかと、湯に浸かるかどうか迷って浴室に行くとバスタブはなかった。それで熱めのシャワーを浴びたら、途中...
2020.05.04 03:009.あまいやまい「ウィルス?」 つい口にして、しまったと思った。どのような体験も正確に体感したくて、五感分散を回避しながら、それでも感情処理に長けているのだと自負してきたが、ついに完成したウィルスを前に小躍りしたいような気分で口を滑らせた。 人類が摂理を見いだして久しい。どの...
2020.05.03 09:008.MY FEELISH HEART 2 / 2黙っていると、娘はうんとうなずいて、窓の外に広がる落ち葉を指さした。その落ち葉はどこまでも黄色くこの家の周りをぐるり覆っている。まるで、この家がスポットライトを浴びるような、明るい雰囲気をもたらしているが、この地に木は生えない。その木の生えない全体に黄色い落ち葉が厚く床を敷いてい...
2020.05.03 03:008.MY FEELISH HEART 1 / 2「驚きました。母が家を持っていたなんて。父は知っていたみたいですけど、私には生前、そんなこと一言も話しませんでしたから。しかも、山までくっ付いていて」 きれいな娘だった。どこかあどけないようで、その癖もうだいぶ前からすっかり出来上がっているというような。こういう娘は、 ...
2020.05.02 09:007.熱愛発覚中 2 / 2その小窓は変容のためのポータルで、聞くとやはり簡易のそれであった。なるほどそうなら機密処理の理由も分かる。出入りを変容しなければ消滅してしまう、それほど強くこの世界の何かを示すものなのであろう。だからこそ叡智はコンテンツの閉鎖を決めたが、土地の一画ともなれば歴史を示唆して当然。し...