5.Rock & Hammer 1 / 2
送信は受信の変化体で、端末としての脳の全てが元来受信型と知られて久しい。以降ジェンダーは意図となり、そのうち送受信は統合され意図の及ぶところでもなくなった。叡智がジェンダーを仮想判定したことを螺旋紀元とし、周期を数えたがる研究者もいるが、それすら廃れつつある。大衆意識と化した人類の肉体自体が希薄とされる昨今、いったいジェンダーに興味を持つものもない。そして、それ自体が何事か知る由も、そろそろなくなる。コンテンツは先日、その閉鎖を決定した。人気のないコンテンツとの解釈は出回るだろうが、閉鎖の重要性と考えれば、摂理と何かしらの強い接点を持つものかもしれない。とはいえ閉鎖決定以来、この研究所でも、弱々しい雑件に過ぎないジェンダー研究の一切がコンテンツとともに閉鎖されることとなった。全てはコンテンツの預かりどころとなり、その研究の一切を刻んで閉鎖される。研究におけるその備品とその資料ももちろん対象で、研究所は閉鎖作業に追われてんてこまいだ。そして今日、閉鎖に向けて初めて協議会が開かれた。
ジェンダー研究は主に「高次高等二元論」と「高次二元論」に分かれている。「高次高等二元論」は「高次下等二元論」を同時に意味し、肉体がジェンダーを示した時代は「高次高等二元論」であるところの「高次下等二元論」で論じられ、少数派ではあるがここで螺旋紀元を提唱するものがいる。「高次二元論」はおおむねジェンダースペースを指し、「ジェンダー心理・部分拡張・総合的拡張」で論じられる。これらを総じると「形態時間理論」になり、これは「高次二元ジェンダー論」と呼ばれ、「形態時間理論」と異とされる。「形態時間理論」の系譜には遡ると一部に「高次二元論」を含むが、理論形態とその成り立ちがそもそも違う。そのため、研究概要としての類似性を認めていない。私がいる研究所では主に「高次二元論」であるところの「形態時間理論」、これを区別のためここでは「高次二元ジェンダー論」と呼ぶが、それと「形態時間理論」とを総合的に研究している。これはなかなか珍しい研究所で、後者である「形態時間理論」の言及とされる「内包二元」にも特化している。そのようにいくつもの研究チームが集まるとあって資料も潤沢で、他の研究所との交流も広い。それで今日はそこここの研究所から研究者が集まって、閉鎖に向けての協議を行うことになったのだが、朝から我が博士の姿が見えず所内を探し歩いていた。
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